2025年、年末のご挨拶
2025年、年末のご挨拶 2025:12:30:21:38:00

2025.12.30(更新日:2025.12.30)

 

今日は2025年12月30日です。

皆さん、一年間お疲れさまでした。

関係者の皆さん、一年間ありがとうございました。

 

皆さんにとって、2025年はどのような年だったでしょうか。

全国的には、米価格高騰、大阪万博、参議院選挙、戦後80年、熊被害、石破内閣退陣、高市内閣発足などが大きなニュースでした。

 

僕にとっては、2025年(50歳)は、仕事中心の一年でした。

50歳という節目の年に、何か新しいことを始めようと考えていたのですが、ズルズルと2025年に突入し、ほとんどの時間を仕事に消費してしまいました。

秋、忙しい日々が続き、不整脈、動悸を自覚し、心房細動を心配して看護師に心電図をとってもらいました。

この時は、健康第一と改めて感じました。

 

来年春の診療報酬改訂に向けて、中医協での議論が山場を迎えています。

報道によりますと、夜間休日対応、在宅医療などの提供体制の有無で、診療報酬に差を付ける議論もされているようです。

当院は、開業当初の若い頃は、夜間休日対応、訪問診療、胃カメラ検査、腹部エコー検査、遅い時間(18:30)までの診療をしていましたが、年齢とともに無理が利かなくなり、一つ一つやめていき、今では外来、健康診断、予防接種を中心にやっています。

今更、夜間休日対応、在宅医療などで診療報酬に差を付けると言われても、自分の健康と自分の時間が大事ですので、方針が変わることはないと思います。

当院のような「お金は事業を継続していくためには大切だが、お金を第一には考えない」というスタンスの開業医は全国に多いと思います。

 

社会全体では、効率的な医療提供体制の構築が必要ですが、田舎(鳥取県で言うと鳥取市、倉吉市、米子市、境港市の市街地以外)の医療機関では、医師の高齢化が進み、現状維持が精一杯です。

今の流れが続き、医療機関に求められるハードルがどんどん高くなると、ある時点で一気に医療機関が減り、医療崩壊が起こり、結局、患者さんが困ることになります。

今でもルールがどんどん複雑になり、患者さんに渡す紙やカルテ記載事項がどんどん増えています。

いくら高度で複雑な制度を作っても、現場が対応できなければ意味がありません。

 

だいぶ前になりますが、2018年7月に米子市で占部まり先生(内科医)の講演会があり、参加しました。

占部まり先生の父親は、著明な経済学者である宇沢弘文氏で、「社会的共通資本」という理念を提唱されたことで有名です。

具体的には、医療、教育、道路、河川、森林などは社会全体で守り、公共として維持すべき資本であるという考え方です。

講演会でも、占部まり先生はその理念に基づいて、「超高齢多死社会と向き合う―老いるという恵み―」というタイトルで講演されました。

天寿がんの話(認知症の患者さんは鎮痛剤の使用量が少ないこと)、「看取り」から「看まもり」へ、「孤独死」から「孤高死」へ、年を取ると周囲に対する感謝の気持ちが強くなるので高齢化社会も悪くない、医師に求められるのはコミュニケーション能力で患者さんに寄り添い今後の見通しを立てて道案内役をするなどの内容が印象に残っています。

 

当院は医師一人の診療所で、急性期医療も在宅医療もやっていませんので、出来ることは限られます。

ただ、かかりつけ医として、毎月定期的に通院される患者さんの病状把握は出来ています。

日々の診療のなかで、脳梗塞や心筋梗塞なら救急車を呼んで急性期病院に搬送しますし(定期的に診察している患者さんと初診の患者さんとでは、診断の精度が全く違います)、通院が困難となり在宅医療が適切と判断したら、旧気高郡で中心的な役割を果たされている鹿野温泉病院に紹介するなど、出来る範囲で地域医療に貢献できていると考えています。

 

最近の医療は効率化が叫ばれ、より安い医療費で、多くの患者さんを診ることが求められています。

初診料、再診料、管理料、薬剤費、材料費は上がらず、普通にやっていては、物価高で利益が減り、職員の給与アップも難しい状況です。

新聞やマスコミが「医者の年収は高すぎる」「開業医は儲けすぎている」などと騒ぎ立てますが、リスクを取って開業し、コツコツと日々努力して、経営努力をした結果であり、楽して儲けているわけではありません。

むしろ多くの医療機関、医療従事者が、2020年のコロナ禍で精神的にも肉体的にも疲弊し、2022年からのエネルギー価格高騰、物価高で経営的にも苦しくなっているのが現実です。

 

多くの医療機関が人手不足に悩まされており、このままでは「検査お断り」「手術お断り」「新患お断り」が常態化するかもしれません。

自分の親も高齢者で、特に今年は大病を患い、鳥取大学病院や鳥取赤十字病院でお世話になりましたが、医療崩壊が起こっていない時代に治療が受けられて、「あなたは恵まれている」と思いました。

我々団塊ジュニア世代が高齢者になった時に、今のような医療の質が保たれているのか、何時でもどこでも誰でも、お金の余裕がない人でも、一定水準の医療が受けられるのか、甚だ疑問に思います。

要は、アメリカやイギリスの様な状態になってしまわないか心配です。

具体的には、医療費が日本の10倍かかる、公費負担での医療費は安いが質が低い、患者の権利が尊重されない、苦情を言おうとしても嫌なら自費で高額な医療を受ければ良いでしょと言われるなどです。

 

今年は紙の保険証が廃止されました。

患者さんもオンライン資格確認に慣れて、当院では半分以上の患者さんがマイナ保険証で受付されています。

しかし、職員が「信頼できません」と言っていたのを聞いたことがあります。

なかなか本音は聞き出せませんが、そう思っていても不思議ではないと思いました。

マイナ保険証が使えなかったときに、原因がはっきりしないのが、不信感に繋がっているようです。

顔認証の器械が悪いのが、スマホを読み取る機械が悪いのか、ノートPCが悪いのか、レセコンが悪いのか、院内LANが悪いのか、USB接続が悪いのか、光回線が悪いのか、東京のサーバーが悪いのか、何が悪いのか分かりませんので、とりあえず患者さんに謝るしかないのがストレスなのでしょう。

患者さん側も「前日、整形外科で薬をもらった。お薬手帳は持ってきてないが、マイナ保険証を利用しているので、そっちで分かるだろ。」などと言われる人がいますが、クレカ決済のように、リアルタイムで情報は更新されません。

ただ、これにつきましては、患者さんの言われる通り、リアルタイムで他院の受診状況(処方内容など)が分かると便利なのは間違いありません。

また、転居した人も、役場で手続をしてから医療機関でマイナ保険証として利用できるまで、1週間から10日くらいかかります。

時間に余裕を持って、手持ちの薬にも余裕を持って、受診して頂ければと思います。

大きな流れとしましては、マイナ保険証の積極的利用の方向ですので、システムを迅速かつ正確に改善して欲しいです。

ECサイトなら使わなければ良いだけですが、オンライン資格確認はそういう訳にはいきませんので。

 

今年、当院では、名札を廃止しました。

メリット(身につける物は少ない方が楽、カーディガンや防寒具が着やすい、プライバシーの確保、仕事と関係ない話題が減る)とデメリット(名前で呼ばれないのでやり甲斐が低下する、新しく入職した職員が名前を覚えにくい)を天秤にかけつつ、スタッフミーティングで話し合って決めました。

新しい職員が入れば、しばらくは名札を付けるという約束で廃止しました。

今のところ、廃止して良かったと感じています。

 

2025年12月23日の日本海新聞の1面に、「ネット中傷に削除命令、鳥取県で条例成立、全国初」という記事が載っていました。

グーグルマップなどのサイトに、誹謗中傷を書き込んだり、低評価を付ける人(患者さんであったり、マッチポンプをビジネスにしている削除業者であったり)がいて、多くの医療機関が困っています。

職員もこの記事を読んで、「医療機関へのネット中傷にも適応させて欲しい」と言っていました。

僕も職員もみんなで協力して、日々真面目に診療しているのに、自分の思い通りに対応してもらえなかったという理由で、こちらの状況や都合を理解しようとせず、ネットに書き込んで憂さ晴らしをするのは、みんなのモチベーションを低下させます。

ネット中傷するのは、初診の患者さん、初診じゃなくても毎回同じような要求をする患者さんに多い印象です。

今年4月13日にとりぎん文化会館で、患者トラブル対策の第一人者である尾内康彦氏が講師を務めた「ネットを舞台とした非対面世界での個別対処法」についての医療安全管理研修会がありました。

当院での事例も相談させて頂き、グーグルマップの返信機能で返信しました。

今のところ、当院でできるのはここまでですが、今後、法律や条令が整備されれば、一歩踏み込んだ対応が出来る日が来るかもしれません。

当院の場合、患者さんのほとんどが旧気高郡の居住者ですし、気高町の人口より多い数の患者IDがありますので、何となく当院の雰囲気は知られていると思います。

なので、ネット中傷が死活問題にはなりませんが、このブログを読まれた患者さんで、要望がありましたら、直接、医師や職員に申し出て頂ければ幸いです。

 

最後にプライベートな内容を二つ書いておきます。

 

一つ目は、大学院生の時に借りていた奨学金を20年かけて返済完了しました。

「返還完了証」が届いた時は、葉書一枚でも嬉しかったです。

お金を貸して頂いた日本育英会には感謝しています。

当時は、大学病院で働いていましたが、無給でした。

アルバイトで生活費を稼いでいましたが、体調不良で働けなくなる可能性もあり、子どもがまだ小さかったため、子どものオムツ代やミルク代が払えなくなったらどうしようと思い、奨学金を申し込みました。

コツコツ返済することの大切さを学ぶことが出来ました。

余談ですが、今年1月に平山郁夫画伯(日本育英会会長)の展覧会が島根県立美術館で開催され、足を運びました。

シルクロードは良いですよね。

待合室に展覧会の売店で買ってきた平山郁夫画伯の本を置いているので、眺めてみてください。

古代のロマンを感じます。

 

二つ目は、10月に家族で北アルプスの上高地に行ったことです。

娘が岐阜大学の大学院生で、岐阜経由で行きました。

鳥取に住んでいると、外国人観光客が多いとか、観光地には自家用車で行けないとか聞いても、「ふ~ん、そうなんだ」という感じですが、本当に中国人も欧米人も多いですし、大山のように登山口近くの駐車場まで自家用車で行けるわけではありません。

登山口の駐車場に駐めて良いのは、バスかタクシーだけで、自家用車はそこからだいぶ離れた、岐阜県とか長野県とかの自家用車用駐車場に駐めないといけません。

 

翌日は、岐阜県の関ヶ原古戦場に行きました。

僕は歴史が好きな方ですが、関ヶ原が岐阜県にあるとは知りませんでした。

徳川家康も石田三成も好きです。

歴史館の売店で、「徳川家康」「石田三成」「関ヶ原」の三冊を買って帰り、待合室の本棚に置いていますので、興味があれば読んでみて下さい。

三冊読んでみますと、家康本では苦労の大切さが、三成本では忠義の大切さが描かれており、両方の武将のファンになりました。

 

娘は広島の大学を卒業した後、今は岐阜の大学院2年生で、来年春から社会人になります。

学生最後の年末年始ということで、皆生温泉に予約していましたが、実験と修士論文で忙しくて、帰省できなくなり、皆生温泉はキャンセルしてしまいました。

苦労していそうですが、「父さんも大学6年生の今の時期は、卒業試験と医師国家試験で、人生で一番勉強していたよ。」と話しました。

慰めになっているのか分かりませんが。

日々、コツコツと努力することの大切さを学んでくれたら良いなと思います。

 

それでは皆さん、よいお年をお迎えください。

 

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