島根県保険医協会の講演会「他人事ではない老後破産」に参加しました。 |鳥取県鳥取市気高町の内科・呼吸器内科クリニック

島根県保険医協会の講演会「他人事ではない老後破産」に参加しました。
島根県保険医協会の講演会「他人事ではない老後破産」に参加しました。 2016:05:22:18:50:00

2016.05.22(更新日:2016.05.22)

 

5月22日に島根県保険医協会が開催した市民公開講演会「他人事ではない老後破産」に参加しました。
講師は、2014年9月28日に放映された、NHKスペシャル「老人漂流社会~老後破産の現実~」の制作統括、板垣淑子氏でした。
この番組を機に、老後破産、下流老人、老後漂流社会などの言葉が盛んに用いられるようになり、社会問題として大きく取り上げられるようになったそうです。
 
以下に、印象に残った内容を記載します。
 
地方の小さな集落でさえ、病気のことやお金のことで生活に困っていても、周りに助けを求めないことが多いそうです。
他人に迷惑をかけたくない、お互いよく知っている人同士だからこそ、自分のことをさらけ出したくないという気持ちのためだそうです。
 
子供(働き盛りであったとしても)が仕事を辞めるきっかけは、親の介護が理由であることが多く、当然、収入がとだえます。
蓄えがあったとしてもだんだんと底をつき、経済的に困窮してしまいます。
そのため、親子で同居している世帯でも、危機的状況であることが多いようです。
しかし周囲は、親子で暮らしているのなら大丈夫だろうと、あまり声をかけないようです。
対応策として、世帯分離という制度があるそうです。
親は生活保護受給として施設に入り、子は就労支援をするという制度です。
ただ、分かれて住むのに抵抗があったり、子も既に高齢となっていたりと、あまり親切な制度ではないそうです。
 
結局、生活保護を受給することになった人が、手続きなどでお世話になった人に話されるのは「周りに迷惑をかけたくない」「早く死にたい」という言葉だそうです。
 
長寿という言葉があるように、本来、長生きはおめでたいもので、祝うべきものですが、最近の社会は、長生きが悪いことのような風潮にすらなっているようです。
 
老人施設につきましては、そもそも都会では年金収入だけでは施設に入所するのは困難なようです。
そのため、料金の安い地方の施設に移り住むケースもあるようです。
仮に入所できたとしても、メリットもあれば、デメリットもあります。
メリットは、食事、入浴、排泄など、身の回りの世話をしてもらえる(甘えると寝たきりになってしまいますので要注意ですが)ことや、孤独死の恐怖がないことでしょうか。
デメリットは、プライバシーが保てないことや、寝たきり度(要介護度)によっては、元の施設に戻れず、漂流してしまうことです。
 
人間、誰でも年をとり、死を迎えます。
当然、私にもやってきます。
親の介護の問題、自分の老後の問題、健康の問題、お金の問題、夫婦の問題、親子(自分と子供)の問題、社会とのつながりの問題、仕事の問題など、全てではないかもしれませんが、多くの問題を抱えていくことになります。
さらに認知症になると、自分では解決できず、他人の手を借りることになります。
 
普段は、笑顔を心がけながら、診療に当たっていますが、外来診療や訪問診療の場で、高齢独居者や老老介護を目の当たりにしますので、他人事ではないと思いながら拝聴させて頂きました。
 
暗い話ばかりになってしまいましたが、嬉しかったことがありました。
公演後、会場(松江市内)のホテルで昼食を食べましたが、定食の味噌汁にシジミが入っていたことです。
松江まで来て良かったと思った瞬間でした。
食べ物の話で申し訳ありません。
 
また、山本一氏の写真集「かさねいろ~風景に見る日本人の心~」を購入し、待合室の本棚に置いておきました。
春夏秋冬の日本の景色が色とりどりに撮影されている写真集です。
受診された折には、手にとって頂けますと幸いです。
 
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