受動喫煙と日本人のためのがん予防法 |鳥取県鳥取市気高町の内科・呼吸器内科クリニック

受動喫煙と日本人のためのがん予防法
受動喫煙と日本人のためのがん予防法 2019:11:18:14:39:00

2019.11.18(更新日:2019.11.18)

 

2019年11月17日(日)に、米子市で産業医研修会が開催され、参加しました。

 

研修会の内容は、以下の通りでした。

①働き方改革

②職場におけるハラスメント

③職場における受動喫煙防止対策

④勤労者のメンタルヘルス

⑤腰痛予防

 

このうち、「③職場における受動喫煙防止対策」では、

○ 職場の受動喫煙防止対策に関する労働安全衛生法の規定

○ 職場における受動喫煙防止対策のすすめ方

○ 受動喫煙防止対策設備(禁煙室)の設計のポイント

が主な内容でしたが、読者の皆さまにも役に立つ話もありましたので、紹介します。

 

まず、タバコの害についてです。

喫煙男性は、非喫煙者に比べて、肺癌による死亡率が4.8倍です。

喫煙女性は、非喫煙者に比べて、肺癌による死亡率が3.9倍です。

 

喫煙者は、非喫煙者に比べて、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)の死亡率が3.28倍です。

喫煙者は、非喫煙者に比べて、脳卒中(脳出血、脳梗塞)の死亡率が1.56倍です。

 

呼吸器疾患(慢性肺気腫、慢性気管支炎、肺癌)や歯周病などの原因になります。

妊婦が喫煙しますと、生まれてくる赤ちゃんが低出生体重児となる頻度が2倍高くなり、早産、自然流産、周産期死亡の危険性が高くなります。

 

受動喫煙も重要です。

受動喫煙とは、他人の喫煙により、タバコから発生した煙にさらされることを言います。

問題なのは、タバコから発生した煙(副流煙)は、喫煙者がフィルターを通して吸い込む煙(主流煙)よりも有害物質が多いということです。

具体的には、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍、主流煙よりも多く含まれています。

 

国立がん研究センター「がん情報サービス」によりますと、受動喫煙を受けない人を1とした時の、受動喫煙者の相対危険度は、肺癌1.3倍、脳卒中1.3倍、虚血性心疾患1.2倍となっていいます。

ですから、家族や職場の同僚が喫煙者の場合、副流煙を吸い込まないように十分に注意して下さい。

 

次に、加熱式タバコの受動喫煙についてです。

皆さん、加熱式タバコにも受動喫煙はあると思いますか?それとも、ないと思いますか?

答えは「ある」です。

ただ、この場合、少々複雑で、加熱式タバコの喫煙者の呼出煙から有害物質が排出され、それを周囲の人が吸い込むことによって生じます。

成人の場合、「解剖学的死腔」と言いまして、吸った空気(酸素、窒素、たばこの煙などの有害物質)の全てが肺に到達して、ガス交換されるわけではなく、1回換気量約500mLのうち、約150mLは肺に到達することなく、そのまま吐き出されます。

そのため、1呼吸あたり150mLは、喫煙者の周囲に呼出され、エアロゾルとなり、しばらくの間、その環境にとどまります。

ですから、加熱式タバコによる受動喫煙は、第3次喫煙(Third-Hand smoking)と呼ばれます。

 

加熱式タバコの喫煙者は、「周囲に有害物質を発生させている」という自覚が必要ですし、家族など周囲の人は、「加熱式タバコでも受動喫煙に注意が必要」と思わないといけません。

 

 

話はそれますが、2011年に国立がん研究センターが、日本人のためのがん予防法「がんを防ぐための新12か条」を公表しています。

  1. たばこは吸わない
  2. 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
  3. お酒はほどほどに
  4. バランスのとれた食生活を
  5. 塩辛い食品は控えめに
  6. 野菜や果物は不足にならないように
  7. 適度に運動
  8. 適切な体重維持
  9. ウイルスや細菌の感染予防と治療
  10. 定期的ながん検診を
  11. 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
  12. 正しいがん情報でがんを知ることから

 

以前に国立がんセンターが定めた「がんを防ぐための12か条」との主な違いは、禁煙を受動喫煙と合わせて2項目にわたって最初に置いたことです。

 

がん予防も生活習慣病予防も、基本は一緒です。

結局は、禁煙、節酒(体質、病気によっては禁酒)、食事運動療法、感染対策、健診(がん検診)ということですね。

 

 

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