【本棚】大人のADHD(岩波明)
【本棚】大人のADHD(岩波明) 2020:02:11:15:56:00

2020.02.11(更新日:2020.02.11)

 

当院の待合室には、家具屋さんに特注で作って頂いた大きめの本棚があります。
どちらかと言いますと、新聞、雑誌、テレビ、スマホが人気ですが、本棚には健康に役立つ書籍もありますし、写真集、自己啓発書、小説、マンガもありますので、読んで頂ければ幸いです。
本棚の本の中から、一冊ずつピックアップし、興味をひかれる点をご紹介していきます。
 
201626【本棚】写真.jpgのサムネイル画像
 
 
今回は、精神科医の岩波明先生が執筆された「大人のADHD」(ちくま新書)です。
著書は多数あり、「発達障害」(春秋新書)も本棚にあります。
 
200211大人のADHD.JPG
 
 
ADHDを日本語にすると、注意欠如多動性障害です。
「不注意」の症状には、以下のようなものがあります。
○注意、集中が出来ず、ケアレスミスが多い。
○物をなくしたり、置き忘れたりする。
○片付けが苦手。
○段取りが下手で、先延ばしする。
○約束を守れない。
 
また、「多動、衝動性」の症状には、次のようなものがあります。
○落ち着きがない、そわそわする。
○一方的なおしゃべりや不用意な発言。
○感情が高ぶりやすく、いらいらしやすい。
○衝動買い、金銭管理が苦手。
 
本書では、ADHDの症状を小児期から成人後までの具体的なエピソードを交えながら、解説しています。
成人後のエピソード(反社会的行動、アルコールや薬物依存などの小児ではあり得ないエピソード)も豊富に述べられているところが、この本の醍醐味であり、我々小児科以外の医師が、小児期における成長過程にも注意を払わないといけないと教えてくれているポイントでもあります。
また、本書では、他の精神疾患との併存、ASD(自閉症やアスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害)との併存についても述べられており、数多くの精神疾患の中でも、発達障害を中心とした相関関係が理解しやすく書かれています。
 
当院は内科の診療所ですので、統合失調症、躁うつ病、人格障害、知的障害、摂食障害、リストカット、自傷行為、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、児童虐待、ドメスティックバイオレンスなどの患者さんは受診されませんし、受診されても専門医を受診してもらいます。
 
当院に心の問題で受診される患者さんの多くは、適応障害(※1)、不眠症、うつ状態(うつ病)、パニック障害、恐怖症性不安障害(※2)などです。
 
(※1)適応障害とは、新卒や転職で新しい職場に入職したものの、職場になじめず(上司や同僚との人間関係、仕事のミス、取引先や監督省庁への対応)、うつ状態、不眠、イライラ、腹痛、頭痛などが生じる障害です。
 
(※2)恐怖症性不安障害とは、広場恐怖症や社会恐怖症や特定の恐怖症が代表的です。
「広場恐怖症」は、公園の真ん中に一人でぽつんといるのが怖いだけにとどまらず、長いトンネルを運転できない、保育園の玄関や庭が苦手、病院の待合室のように何時呼ばれるか分からない状況で待つのが怖いなどもあります。
「社会恐怖症」は、人前でプレゼンするのが怖い(心臓がドキドキして声が震える)、人前でしゃべろうとすると顔が赤くなり、それを相手に気付かれるのも怖いなどです。
「特定の恐怖症」は、ヘビ(マムシ以外のヘビでも死ぬほど怖い)や女性恐怖症などがあります。
 
軽い不眠症なら睡眠薬を処方すれば元気になられる患者さんもいます。
ショッキングな出来事(配偶者の死去など)でうつ状態になっても、安定剤を1ヶ月ほど内服して頂くと回復される患者さんは多いです。
軽い適応障害で、職場に診断書を提出し、上司に病気を理解してもらうように努め、1ヶ月ほど仕事を休むことで回復される患者さんもいます。
 
しかし、ベースにADHDやASDなどの発達障害があり、それが原因で適応障害となり、不眠、不安、うつ状態、心身症(過換気症候群、過敏性腸症候群)という表現で受診された場合は、睡眠薬や精神安定剤や抗うつ薬では対応出来ないことがあります。
 
当院で対応出来る疾患(状態)と、当院では対応出来ないので早めに専門医に紹介すべき疾患(状態)を見極めるのも、プライマリ・ケア対応を求められている当院のような診療所の役割と思います。
 
200211精神疾患一覧.pdf ←クリック
 
(全ての疾患を網羅しているわけではありません。)
(人格障害が大きな位置づけのように見えますが、頻度は多くありません。)
(高齢者のアルツハイマー型認知症や、その周辺症状は省略しています。)
 
この図は、診察室のホワイトボードに貼って、患者さんに自分の病気の位置づけを理解してもらうために用いています。
本当は、矢印を付けて相関関係・因果関係を示したい(発達障害→適応障害→心身症)(パーソナリティー障害→自傷行為)のですが、無数の矢印を引くことになってしまい、曼荼羅のようにゴチャゴチャしてしまいますので諦めました。
 
この本を読んでもらいたい人は、自分がADHDやASDではないかと思っている人、学生時代に勉強はそれなりに出来たけど、社会人になり答えのない課題(営業、レポート作成)に取り組むことが苦手な人、身近に発達障害や適応障害の人がいる家族や上司などです。
ぜひ、手に取って頂けますと幸いです。
 
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